ARTISTS

Aoki Takamasa

op.disc/raster-noton/commmons

エレクトロニック・ミュージックの枠組みすら軽々と飛び越えて、誰も聴いたことがない、まったく新しいかたちのファンクを生み出す気鋭のアーティスト。現在はドイツのベルリン在住。学生時代にドラムを叩きはじめ、リズムとグルーヴ、つまり音楽が持つ最も根源的なパワーに魅了された彼は、内面からとめどなく溢れる創造力を透明な探究心と情熱的な態度で表現してきた。ドラム・セットはのちにサンプラーとシーケンサーへ、そしてコンピューターとソフトウェアへと時とともに変化してきたものの、彼がリズムとグルーヴに対して持ち続けてきた敬意は決して揺らぐことは無かった。青木孝允にとって、コンピューターとソフトウェアは創造力の中から溢れ出すあらゆるファンクネスを音という形で表現するための道具のひとつでしかなく、機能的な利便性に頼るために使っているのではないのだ。2008年に坂本龍一が主宰するcommmonsからリリースしたアルバム『Private Party』では自身のルーツであるファンクという要素を徹底して分解し突き詰め、きわめて有機的で密度の濃いセクシーでソリッドなマシーン・ミュージックを創り上げた。彼のキャリアの中でもひとつの到達点と言える傑作。2010年1月、坂本龍一やSketch Show、HASYMO、半野喜弘の楽曲のリミックスと自身の楽曲のセルフ・リミックスをまとめたアルバム『FRACTALIZED』を発表。青木孝允はいまだ言語化されていない時間や空間の表象を、音そのものが持つ身体性をもって具体化させることができる才能を持った音楽家だ。