昨今のハウス・シーンにおけるダブ・ハウス系のムーブメントと共に再評価されたレーベルBalihuのオーナーでありディスコ・ダブというサウンドのオリジネーターであるDaniel Wang。幼小を台北で、ハイスクール時代をカリフォルニアで過ごし、80年代後期にニューヨークに移り住む。そこで耳にしたファンキーなハウス・ミュージックに衝撃を受け、シカゴで過ごした2年間を経た後、アブストラクトで宇宙っぽいディスコを制作、自らのレーベルBalihuから発表し始めたのが90年代初頭。最近になりDFA / EMIのバンドHercules & Love Affairがカバーした、レアなディスコ・サンプルが盛り込まれている不朽 の名作「Like some dream (I can't stop dreaming)」を筆頭に数々の名曲を発表した。ニューヨークはソーホーのDr. Sound Music Shop(日本のクロサワ楽器系列)で働くようになってからはムーグ、テルミンやヤマハのシンセサイザーなどを駆使し100%オリジナルのトラックを制作、1999年にはMetro AreaのMorgan Geistが主宰するレーベルEnvironから作品をリリースしたほか、Ghostly、Playhouseなど数々のレーベルからも作品を発表。2003年、拠点をベルリンに移し、現在に至るまでハウス / イタロ / クラシック・ディスコなどを織り交ぜるユニークなスタイルでモスクワからシドニー、東京からリオデジャネイロまで、世界中のフロアーを賑わせている。彼のスタイルは、決して奇抜なものや派手なものではなく、むしろどこか懐かしくノスタルジックな感覚を持ち、しかしながら懐古趣味のガラージ回帰とも違うソウル・ミュージックのような温かみと愛情が溢れている。20年近いキャリアの中、多いとは言えないリリース数にも関わらず、絶えず現場から支持を受け続けているのは、つねに音楽に対して真摯に向き合う彼のアティチュードがカタルシスを与えてくれるからだろう。
Official HP: http://ghostly.com/artists/daniel-wang