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環ROY "ラッキー" リリースパーティー

デビューから七年、環ROYの独特のたたずまいはわれらを魅了してきた。しかし、その「独特さ」は、思うよりずっと底が知れない性質のものではないだろうか。無防備なまでの率直さを、ライムとビーツの両面でみせつけるかと思うと、さまざまな分野のミュージシャンと実験的なセッションをも繰り返す、環ROY。確かに彼は、いかにも華奢で、不良じみたところがない、「文化系」ラッパーの典型に見える。しかし、単独ライヴでのあの姿に接した者は口々にこう言うのだ――「鬼気迫る」「すさまじい」「力強い」、そして「意外だ」と。もう一度アルバムに立ち返る。と、その率直な純朴さと見えたものの底が割れ、奇妙な太々しさと強(したた)かさが湧いてくる。と同時に、そのライムが、克明な思慮深さと反抗の魂に貫かれていることに気づかされるのだ。
 こうして環ROYは、どこまでも「ありきたり」から抜け出ていこうとする。しかし、そこから出てきた作物は、真っ向勝負の「ヒップホップ
なのだ。この不思議な逆説。しかしそれこそは、ヒップホップという音楽そのものが孕む逆説ではないか? 環ROYは、この新たな「ラッキー
で、またもそのヒップホップの本質を見せつけようとしている。耳を澄ませ。それは必ず聴こえる。