about ZIP :
バイオグラフィー等はインターネット上で充分にご覧頂けると思うので、あえて省かせてもらう。
今回僕が書きたいことは、使い回しのプロフィールや小難しい言葉を並べた音楽スタイルの紹介ではない。
DJ ZIP。
Perlonのレーベルオーナーであり、僕がこの世でもっともリスペクトしているDJ。
はじめてZIPに出会ったのは2003年の夏、DJ MOODMAN主催のパーティー「House of Liquid」での初来日の時だった。
当時の僕は20歳過ぎ。
自分の音楽やスタイルなどはまったく確立されておらず、気になるパーティーにかたっぱしから大小問わず足を運んでいる頃だった。
そのときはまだZIPのDJを聴いたことはなかったが、「Perlon」というレーベルの作品は、ジャケットのデザインを含めどれもお気に入りだった。
レコ屋で持っていないレーベルナンバーを見つけては、試聴もせずに即買い集めていた。
ファニーでファンキーで超クールなレーベルサウンドは目新しく、僕を虜にしていた。
そのレーベルオーナーであるDJ ZIPが来日する、僕はその日を待ちわびていた。
当日会場である新宿Liquidroom(現在は恵比寿へ移転)に入りフロアへ降りた瞬間、
現在ではミニマルハウスクラシックに位置付けられているProblem KidsのI Will Lead (Hollway & Eastwick MIx) がとてつもない鳴りでフロアを揺らしていた。
DJブースを見上げるとすでにZIPがプレイ中。
キュートなスマイルとは裏腹に、一音一音容赦ないタフすぎるグルーヴを丁寧に正確にミックスしていく。
ハウスクラシックからその当時主流のミニマル、もちろんPerlonトラックまで、自然かつ完璧な流れでプレイする。
そして延々上げに上げられた最後の最後、Ricardo VillalobosのEasy Leeでの極端な落差の下げっぷり。
まさに職人、あるいはド変態。
2時間ほどだろうか、僕はひたすらぶっ飛ばされ続けていた。
今までに生きてきたなかで、あれほどの衝撃を受けたことは他にない。
とにかく人生が変わるほどの体験だった。
そして実際に人生が変わった。
その後ZIPとPerlonにハマりすぎた僕はベルリンに移住。
住んでいた期間はわずか1年だったが、毎月第1金曜にPanorama Barで開催されているレーベルパーティー、
「Get Perlonized」には一度も欠かすことなく通った。
もちろんそれ以外にもフライヤーでDJ ZIPのクレジットを見つければ必ず足を運んだ。
いつもZIPのDJは特別だった。
ベルリンに来てさらにより一層、もはや完全にZIPにハメられたのだった。
RICEを始めるにあたって呼びたいゲストを話し合ったとき、僕もGも当然真っ先にZIPの名前をあげた。
目標はZIPを招待すること。
いつか必ずRICEに出演してもらおうというのは僕とGの口癖だった。
長い時間がかかったが、たくさんの人たちの協力のおかげでようやく実現する。
はじめてZIPのDJを聴いたあの時の衝撃から12年、ついに同じ土俵に立つ日が来る。
最高の相棒と最高のクラブと最高のサウンドシステムで。
奮い立つ。
そして12年経ってもこれだけは言える。
DJ ZIPは僕のスーパースターだ。
text by Tanukeep
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